「子どもと一緒の趣味」としての茶道
子どもと一緒の趣味はありますか。
ご自分の趣味はいかがでしょうか。何か楽しいこと、知らず知らずのうちにやってしまうこと。
子どもがいると、他に優先することが多くて後回しになりがちです。必要ないとも思うでしょう。
茶道家として、親子での楽しみ方をほんの少し、ご紹介します。
Contents
母と子の趣味として
母娘の趣味といえば料理、お菓子づくりです。
小さい頃から一緒に台所に立ち、その過程でいろいろお話もするものです。
お母さんから教わりたいのは、繊細なお菓子づくりと、季節感。
そのお菓子が和菓子だったら…?
小豆を煮てあんこを作る、色をつける、形をつくる。
ケーキに比べると地味かもしれませんが、ねりきりを作る動画はYouTubeにたくさんあがっています。
お花のねりきりをつくる中で、花の形や名前を覚えることもあります。
お花に季節があることも。
おひなさま、ハロウィン、クリスマスツリーも楽しいものです。
デパ地下の和菓子コーナー、楽しいですよ。
ご一緒に見に行ってみてください。
父と子の趣味として
中学生の「なりたい職業ランキング」一位が社会人と発表されたのが今年のこと。
コロナ禍で在宅ワークが増え、お父さんの仕事を見る機会が増えた子どもたちはしっかり後ろ姿を見ています。
お父さんから教わりたいのは、禅語、そしてものの価値。
禅語は仏教の、禅宗の僧たちが学ぶことばです。
茶道に仏教…?と思われるかもしれませんが、千利休も禅寺で修行しています。禅語は季節をあらわす美しい言葉であるだけでなく、人格を高める格言です。
例えば「無事」。
わたしたちは何ごともなく平穏なこと、といった意味で使いますが、もとは禅語の「無事是貴人」からきています。
ここでいう無事は、「外や他に(救いを)求めない心の状態」です。その状態になったら、貴人、とうとい人であるということ。
理解しにくい言葉にあえて触れる機会になります。
そしてものの価値について。
三井物産の創業者が、偉大な茶人だったことをご存知ですか。東武鉄道の創業者も同様です。
彼らは茶の道を極めるだけでなく、茶碗や茶入など、古くから伝わる茶道具を集めていました。
いわゆる「目利き」ができたのです。
どこで作られた茶碗、焼き方、作者、持っていた大名のこと。
今や国宝になったものを、100年前までは個人が持っていました。
それを知りたくありませんか。
そしてできればお子さんに伝えたいと。
茶道を学ぶことは、一流のビジネスマンの目を持つことでもあるのです。
「趣味にお金をかけない」はどうする
普通の茶道はお金がかかります。
体系的に学べない膨大な知識のまとまりだからです。
それこそ500年、1000年の歴史があり、昔の知識人やお殿様が全員やっていた趣味だからです。
では、諦めるのか。
ひとつ目の提案は「何かひとつにしぼる」です。
お金をかける部分をしぼる
和菓子だけ。
家族それぞれの茶碗だけ。
抹茶だけ。
それだけでもじゅうぶんです。
ひとつを極めるのに時間がかかります。長く、一生追っていけます。
もうひとつは、「家族それぞれがオタクになる」です。
家族それぞれがオタクになる
親と子が気にいる部分が違うかもしれません。
それぞれの興味を伸ばすようにすればよいのです。
抹茶の味は、実は子どもの方が繊細に見分けられます。
知識が必要なら漫画でもYouTubeでも、今はたくさん知ることができます。
家族で比べる必要がないところが、茶道の膨大な世界です。
「役に立つ趣味」にしない
ところで、趣味については、わたしはこの引用と定義しています。
「趣味の本質は、余暇に楽しむアクティビティのことです。だから、趣味を答えるプレッシャーを感じる代わりに、もっとシンプルに『自分は何をするのが楽しいのか』を自問したら、答えるのがずっと楽に感じられると思います」とシュワーツ氏は話す。趣味は「生産的」である必要はなく、改善や進歩を要するものでなくて構わないのだ。(もしあったとしてもOK)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_635648a0e4b04cf8f3855ead
むしろ将来のために役に立つようでは、現代に趣味として茶道を学ぶ意味はないと思います。
正座ができても畳の部屋がありません。
礼儀作法を知っていても披露する場がありません。
役に立つよりも、自分自身が生きていくのに意味がある、そんな時間が茶道です。
自分と向き合う時間を、先輩たちにちょっと付き合ってもらう、そんな時間であればいいと思います。
オンラインでもレッスンしています。
もし特に学びたい分野があるのなら、ぜひ教えてください。その知識をさらに磨くお手伝いができると思います。
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