825℃の世界とオーブン
この週末、温泉旅行に行った帰り道でコストコに寄りました。
ディズニーランドもUSJも遠い場所に住んでいる身としては、コストコはエンターテイメント。
車が見つけられなくなるほど広い駐車場に、カートを受け取ってから乗る長いエスカレーター、巨大なファンが天井で回転するのを見て「ぐるんぐるん回ってるね!」と家族で言い合いながら入っていく倉庫。
お買い物をあらかた終えて、今日はもう夕飯を作るのはやめようと決め、お惣菜コーナーに向かいます。
パプリカとベーコンのキッシュがちょうどいいサイズかなと思ってカートに入れました。
他のものはちょっと…大きすぎて。
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キッシュの商品シールには細かい字で「180℃で25分温めてください」と書いてあります。
予熱した旧式のオーブンに向かってキッシュを入れ、他の料理に取り掛かろうかなと思って…ふと思います。
180℃ってそこまで熱くないな。
それに、25分間は長い。
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七宝焼で扱う温度は800〜850℃の世界です。
私は825℃に設定して、温度の下がり具合を気にしながら見ていきます。
中型の電気炉を最初から温めてこの高温に達するまで約30分。入り口に手を入れようものなら、その熱だけで体が拒否するのが分かります。
作品づくりを始めた頃はその温度がどれだけ危険か分かっていなくて、電気炉から出した直後のものをうっかり落として無印のテーブルが一瞬で削られたり、フローリング床のコーティングがはがれたりしました。
もう冷えたかな?と思って焼成台から外そうとして火傷することもよくあります。うっかりは後悔のもとです。
ものを焼くのは、1分。
あっという間にガラスが溶けていく様子は電気炉の小さな窓から中を見て確認していきます。
濡れたようになってガラスが溶けていきます。でこぼこしていた表面が平らになっていくとき、熱源のあかりを映して表面に光の筋が見えてきます。
そんなにじっくり、メガネもせず見ていては眼に悪いと思うのですが、今も不思議に見てしまいます。
温度が下がり切るまで3時間かかるこの電気炉。子どもにも危ないと教えていても、家族の目に触れない時間に作業するのは難しいものです。
地獄の業火と同じくらいの温度かな、と想像しながら向かい合っています。
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オーブンから終わりのベルが聞こえたので戸を開けて、オーブン皿を引き抜こうとしたら…しっかり熱くて、慌ててタオルを追加してから取り出しました。
180℃も熱い。
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